東京都町田市 遠藤邸
建てる人、住まう人 ふたつの視点で建てた家
遠藤邸を訪ねたのは、紅葉にはまだ早い10月の終わり。小田急線柿生駅から津久井道をのんびり歩くと、モノトーンの外壁が目を引く、真新しい一軒家が見えてきました。
「おはようございます!」。玄関には出勤前のご主人竜司さんの姿が。見送る奥様の清美さんは、現在妊娠8ヶ月。しっかり者の姉さん女房です。竜司さんは建築現場で施工管理を担当、清美さんは設計士。プロと生活者、ふたつの視点が生かされたこだわりの新居に興味津々です。
駅まで徒歩圏内、日当たり良好。二人がまずこだわったポイントがこれ。確かに14畳の陽だまりのリビングはうらやましい限りで、対面式キッチンも開放的です。リビングの脇にはSOHOスペースを設け、妊娠前の清美さんは在宅で仕事をこなしていました。
「仕事は1階で、キッチンに目が届く場所がおすすめ。煮物を火にかけながらでも、安心してパソコンに向かえるから効果的なんです」
また、トイレと洗面所は1階と2階に設置。夜中に2階の寝室から降りてトイレに行く手間を考えたら、身重の体には正しい選択だったといいます。
間取りは、ご主人の意見を反映しながら100パターン以上も試行錯誤を重ねました。設計が本業とはいえ気が遠くなる作業ですが、「お客様相手の場合も、初期段階で手を抜かないことがクレームをなくす秘訣」だそう。そんな誠意ある作り手と出会いたいものです。
張替えが難しい 床材からいいものを
建築条件付だったこの物件は、使用する建材にも指定があったといいます。でも、床材だけは自然素材の「ごろ寝フローリング」にこだわりました。
「家作りに予算はつきものです。後の出費を抑えるためにも、張替えが難しいフローリングは、最初からいいものをと思っていました。家族が集まるリビング、寝室、将来の子ども部屋は無垢材に。でも、利用頻度の低い何度と、汚れやすいキッチンは合板で十分。使い分けることで上手にやりくりしました」
清美さんが選んだのは、部屋が明るく見える色白のカバ材。「木肌は少しくらいラフなほうが、味があって好き」と、節がある手頃なB級品を迷わずチョイス。オイルは自分で塗り、できるところはどんどん節約。一方、近くにある洗面台がある玄関の床には、水の強いワックスを塗るところなど、さすがにプロの選択です。
「主人は、無垢材も合板と大差ないという考えの人。ところが、出来上がってみると、「気持ちいい!」って床に寝転んでは大喜び。肌で違いを実感したみたいです」
まだまだ、無垢材の気持ちよさを知らない人は多いと思います。最初は清美さん自身も「水をこぼしたらシミになるのでは?」、「反りや縮みは大丈夫?」と不安があったそう。
「今ではまったく気になりません。それより、ホコリがたまりにくかったり、雨期でもサラサラだったり、合板にはない快適さに満足しています。でも、人の価値感はさまざま。反りや縮み、色褪せなど、無垢材ならではの特色をデメリットと思う人には、あまりおすすめしません」と正直な意見も。
年末には待望の赤ちゃんが誕生します。今度は竜司さんと赤ちゃんが、二人で“ゴロン”を楽しむのでしょうか。そんなとき、自然素材でよかったと改めて実感するはず。




