玄関の引き戸を開けた瞬間に、優しい木の香りに包まれる鶴貝邸。明るく開放的な空間がなんとも心地良いお宅です。
「日本の木で家を建てたかったんです。しかも松島さんに出会ったことで、自分たちが登ったことのある身近な群馬の山の木を使って建てることができました」と鶴貝さん。
実は鶴貝さんご夫妻は、尾瀬の山小屋で出逢って交際がスタートし、共に社会人の山岳会に入って活動をしていたという山を愛するお二人です。
「荒れた山をたくさん見てきたんです。なんとかしたい、という思いがずっとありました。家を建てたいと考えるようになった時、インターネットでたどりついた松島さんのHPに『近くの山の木でしか家をつくらない群馬県の小さな工務店です』と書かれていたのを見て、とても惹かれたのです。地産地消への取り組み、自然素材へのこだわり、お人柄も含めて嘘やごまかしのない家づくりに共感しました。実際に松島さんが建てた家を何軒か見せてもらって、自分達が建てたい家はこれだ、って確信しましたね」
その後、土地探しからスタートして実際に家が建つまでに4年。目の前に青々とした田んぼが広がり、視界が開けた理想の場所に巡り合ってからは、急ピッチで進んでいきました。
間取りに関して、奥様の由美子さんがこだわったのが、子どもが自分の部屋に閉じこもってしまうことのないように共有スペースを広くとること、どの部屋にも引き戸を使い、臨機応変に広く使えるようにすること、そして、収納スペースが多いことと、とにかく掃除がしやすいこと。
共用スペースにおかれた机は、小学校3年生の望ちゃんの勉強机になったり、パパの書斎になったり。
「お陰様でどこにいても家族の気配が感じられる家になりました。2階の共用スペースは1階のリビングと吹き抜けを通して一体化したような感じで、特に気に入っています。風通しもとっても良いですしね」
またお子さんがアトピー気味だったこともあり、すべてが自然素材で仕上げられています。
「ほんものたたみ」を始め、限られた予算の中で、場所によって漆喰や「珪藻土」、「すっぴんクロス」を適宜使い分けて実に快適に。梅雨でもジメジメせず、さらっと涼しく、木と自然素材が室内の温度と湿度を調整してくれていることを日々実感しているそうです。
家から学校が近いというのもあり、鶴貝邸には、お子さんのお友達がたくさん遊びに来てくれるそうです。土間があり、ちょっとしたロフトもある山小屋のようなこのお宅には、子どもが本来持つ、冒険心や好奇心を掻き立てるようなものがあるのでしょう。
もちろん、この家の心地良さを一番敏感に感じ取っているのも子ども達なのかもしれません。望ちゃんもわんぱく盛りの一期君も「このお家が大好き!」ととびきりの笑顔で話してくれました。
ご家族の歩みと共に、これからゆっくりと趣を増していく木の家。ご夫婦そろって「大切に、愉しみならがら住んでいきたいと思います」との言葉に、全てが込められていました。